あめのて

活字を垂れ流す

書きかけのバレンタインデー小説を頑張って完結させてみる

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今週のお題「バレンタインデー」

前の記事を書いていて、もうひとつバレンタインデーに関することを思い出した。
高校生ぐらいのときにバレンタインデーをテーマにした小説を書いた気がする。
あれ、どんな小説だったけなあ。

と、気になったので探してみたら見つかった。

「10代の頃に書いた小説」なんてものは一般的に黒歴史であり、数年後に読み返したりなんかしたら恥ずかしくてのたうちまわりたくなるのが普通だろう。
ましてやブログなんかを通してネット上に公開するなんてありえないだろう。

しかし、これを自分で言うことのほうが恥ずかしいが、正直おもしろかった。

そりゃあ、文章とかおかしいところも多いが、小説としては結構おもしろかったのだ。
続きが気になって仕方がないほどに。

そう、その小説は未完成だった。
すごく続きが気になるタイミングで終わってしまっていた。
どこかに続きがないかと、同じ時期に作成されたテキストファイルを片っ端から開いてみたが、どれも書きかけの小説だった。

あぁ、そうだった。僕は小説を完結させたことなど数えるぐらいしか無いのだった。

いいアイデアを思いつく度小説を書いていたが、大抵書いている途中で投げ出すのだ。
書ききれる自信がなくなって。自分の文章能力では、このアイデアの面白さを表現できる自信がなくなって。

途中で投げ出すのだ。

まあでも、珍しいことでもないのだろう。
作家のイメージとして、部屋中に丸めた原稿用紙が散らばっているイメージがある。
僕にとってそれは、フォルダの中のテキストファイルの山に相当したのだろう。

しかし、今なら、高校生の自分に書けなかったものでも書けるかもしれない。
高校生の自分が書いた小説を、21歳の自分が引き継ぐリレー小説ってのもありかもしれない。

なんだそれ、ちょっとわくわくする。

よし、やってみよう。
高校生の頃に書いた書きかけの小説を、現在の僕が完結させるのだ。
できるさ、きっとできる。
今までで一番わくわくするリレー小説だ。

ただ、ひとつ問題がある。
きっとこの小説を書いていた時の僕は、しっかりと落ちまで決めていたのだろう。
冒頭に露骨な伏線が張ってあるのでそれは間違いない。
しかし、現在の僕は、この小説のことを全く覚えていない。
だから想像するしかない。
伏線や行間から読み解くしか無い。

まるで高校生の自分から向けられた挑戦状のようだ。
受けて立とう。

まあ、まずはその小説を晒さないことには始まらないだろう。
本来なら黒歴史足り得る「10代の頃に書いた小説」を包み隠さず晒そう。(ちょっと修正したけど)

高校生の時に書いたバレンタインデーをテーマにした小説

photo by ninacoco

それはきっと、呪いの日。

かつてのローマの司祭、ウァレンティヌスの処刑の日。

ローマ皇帝クラウディウス2世は、戦士の士気の低下をおそれて兵士たちの結婚を禁止した。ウァレンティヌスはこの禁令に背いて、恋人たちの結婚式を執り行ったために、捕らえられ処刑された。

後にこの日は、恋人達の愛の誓いの日とされ祝われる。

しかしこれは、考えて見ればおかしな話だ。人が殺された日なのだ。何を祝うのだろう。何がめでたいのだろう。恋人達の愛の誓いの日であるのなら、結婚式を執り行った日を祝えばいいはずなのに。

きっとこの日は呪いの日なのだ。処刑されたウァレンティヌスの、呪いの日なのだ。ウァレンティヌスは、現世に未練を残していたに違いない。

そう確信してしまう出来事を、僕は身を持って体験した。

司祭ウァレンティヌスの呪いの日に、僕は呪いにかかったのだ。


もう諦めていたはずだ。というか、最初から望んでなんていなかった。そんな権利すらない。

僕の思いは伝わらないし、受け取ってすらもらえない。あたりまえだけれど。

どうして持ってきたりしたのだろう。僕はいったい、何を考えていたのだろう。

これだって、最初はそんなつもりで作ったものじゃなかった。クラスの女の子がみんなはしゃいでいたから。作り方を友達同士でわいわい話し合ってて、楽しそうだったから。羨ましくなって、僕もやってみたくなって、いつもの好奇心と思いつきで作っただけなんだ。他意なんてなかった。

女の子達が話していたものだって、そういう意味のものじゃなくて、友達同士で交換し合って楽しむだけのものだ。僕もそういうものを真似て作り始めたんだ。ましてや、あいつのことなんて少しも考えていなくて、僕のこの気持ちと繋がるなんて、これっぽっちも思っていなかったんだ。

自分のために作ろうとした。誰かにあげるつもりなんてなかった。そのはずなんだ。

昨日僕は、学校帰りにスーパーに寄って、材料を買って、家に帰った。

もともと料理は好きで、いつも思いつきで作り始めるから、学校帰りに材料を買って買えるのはいつも通りの下校コースだ。それから、家に着くなり、いつも通りにキッチンに向かったんだ。

いつからだろう。あいつのことが頭から離れなくなったのは。

いつも通りのこと。僕にとっては、決して珍しい行動しているわけでもないのにも関わらず、その日はなぜかいつもと違ったんだ。

あいつが、突然に僕の頭の中を支配した。前兆なんてものはなかった。強制的に、僕の知っているあいつの姿、しぐさ、匂い、声、言葉、あいつの全てを思っていた。

おかしくなりそうだった。

あいつへの僕の気持ちが、溢れそうで、零れそうで、どうしようもなかった。顔が火照って、胸が痛いぐらいに締め付けられるようで、倒れそうになりながらも、何故か僕はそれを作り続けた。

何故なのかは分からない。だって僕はそのとき、あいつのこと以外、他のことは何も考えられなかったのだから。

そうして出来上がったそれは、あいつへの、僕から溢れ出た思いが全て詰まったものだった。


さて、ここは学校だ。今は7限目の授業中。

それは何故か僕の鞄の中にある。

意味がわからない。

何故?それは自分で食べるためにつくったんだろう?どうして学校へ持ってきた?どうして女の子みたいに、綺麗にラッピングまでしてあるんだ?余計に引かれるだろう?

――いや、違う。そうじゃない。

そういう目的で持ってきているわけがない。わたせるわけがない。いや、わたすつもりもないさ。どうして?だめだろ、そんなことしちゃ。迷惑じゃないか、立場をわきまえろよ。

どうしたのだろう。今日の僕は何か変だ。冷静じゃない。いや、それは昨日からか。

いったん落ち着こう。冷静になれ。僕は今日、それを鞄から出すことなく家に帰るんだ。家に帰った後、初めて鞄から出し、それを自分で――自分で?食べるのか?それを?他人への思いがたくさん詰まったそれを?

――無理だった。

放課後、僕はそれを部活中のあいつの鞄にこっそり入れた。何も言わず、何も書かず。

迷惑なのは分かっているけれど、他に方法が見つからなかった。あいつにもらって欲しかった。けど、直接わたしたって、気持ち悪がられるだけで、もらってくれるわけないだろう。だから、こっそり鞄に入れた。

普段なら、余計に気味悪がられるわたし方だろうけど。でも、今日なら。今日という日なら、もしかしたら喜んでもらってくれるかもしれない。

そう、願いを込めて、僕はこっそり帰路に着いた。

この小説はここで終わっていた。

どう?意外と面白くない?
少なくとも、ブログに載せて恥ずかしくない程度ではあると思う。僕は。

とくに冒頭のプロローグ的な部分が格好良い。
とても読ませる冒頭になっている気がする。

あ、どうか自画自賛を許して欲しい。
全くこの小説を書いた頃の記憶が無いから、他人の小説を読んでいるのと同じ気分なのだ。

その冒頭部分で、僕が最初に言ったことがわかってもらえたと思う。

きっとこの日は呪いの日なのだ。処刑されたウァレンティヌスの、呪いの日なのだ。ウァレンティヌスは、現世に未練を残していたに違いない。
そう確信してしまう出来事を、僕は身を持って体験した。
司祭ウァレンティヌスの呪いの日に、僕は呪いにかかったのだ。

確実に結末、落ちを決めて書き出している書き方だろう。
未完成なのはいいとしても、落ちだけでもどこかに書き記しておいて欲しかった。
この冒頭は素晴らしいが、続きを書きにくい冒頭だ。リレー小説としてはやってはいけない書き方だ。
リレー小説のつもりなんかなかっただろうが。

ちなみに、もともと2月14日は女神ユノの祝日だったらしいから、その日をバレンタインデーにするのは結構自然。
でもそれを「ウァレンティヌスの呪いの日」って表現してるのがいいよな。
このフレーズ大好きだ。

そうだ、この小説のタイトルは「ウァレンティヌスの呪いの日」にしよう。

落ちを予想しよう。

まず、小説内で言及されていないから一応確認しておくが、これはバレンタインデーの日の出来事で、「僕」が作った「それ」はチョコレートで間違いないだろう。
おそらく、意図的に「バレンタインデー」と「チョコレート」という単語を使用しないで書いているので、この先も書かずに続けるべきだと思う。
最後の最後に言及して「バレンタインデーのことだったのか!」と読者を驚かせる書き方もあるが、隠そうとしている書き方ではないのでそれは違うだろう。

それともうひとつ、言及こそされていないが確定させられる事実がある。
この小説はまちがいなく「BL小説」だろう。
「僕」も「あいつ」も男子で間違いないと思う。
あと、たぶん中学生。

「ウァレンティヌスの呪い」は「禁止されていた結婚をさせたい未練」なのだろうか。
だとしたら、結婚まで行かなくても、男性同士の恋愛を成就させる理由に繋がるだろうか。

……少し違う気がする。

ウァレンティヌスは結婚式を執り行うことはできたのだ。
それが原因で処刑されたことに納得がいっていないと考えられる。
その未練を解決するにはどうしたらいだろう。

そういえば「僕」は、この恋愛を異常なまでにいけないものだと考えている。
必死に自分の気持ちを否定している。
その恋愛に対する否定的な気持ちを否定することで、ウァレンティヌスの未練を解決することができるのではないだろうか。

これはちょっとありな気がする。
その方向でいくか。

とりあえず、「僕」と「あいつ」がくっつくことは間違いなさそうだ。
ただ、完全にくっついてもいけないな。甘酸っぱい感じにしよう。
うん、いけそうな気がしてきた。

よし、続きを書いてみよう。
僕はこの書きかけの小説を完結させる。

「ウァレンティヌスの呪いの日」の続き

逃げるように学校から出た僕は、鞄を胸に抱え込んで俯きながら、とぼとぼと家に向かって歩いていた。

――なんてことをしてしまったんだろう。

恥ずかしさと後悔で、めまいがするほどだった。やっぱり今日の僕はおかしくて、自分でも信じられないような行動ばかりしてしまっている。

僕は大きくため息を吐いて、抱えた鞄を強く抱きかかえた。

すると、鞄に何か違和感を感じた。何かが入っている。もちろん、教科書や筆箱が入っているのだが、それ以外の何かが入っているような感触があった。たとえば、綺麗にラッピングをしたアレのような感触。でも、アレは既にあいつの鞄の中に入れてしまった。じゃあ、今僕の鞄の中にあるこの感触のものは何なのだろう。

確認してみようと、鞄を開けてみた。鞄の中には、やっぱり、綺麗にラッピングがされたあれが入っていた。

一瞬、さっきまで僕が持っていた物かと思い驚いたが、よく見ると全く違うものだった。僕以外の誰かが作ったもののようだ。

自分の鞄に自分の見覚えの無いものが入っている理由を、今の僕にはすぐに想像することができた。だって、ついさっき僕がやったことだから。きっと、僕があいつにやったのと同じことを、他の誰かが僕に対してやったのだろう。

それに気がついた時、僕はただただ嬉しかった。あいつも今の僕と同じように喜んでくれるといいなあ、などと考えながら僕はそのラッピングを丁寧にほどいていった。僕は名前を書かなかったけれど、これの送り主は自分の名前を書いてあるかもしれない。それを確認するために、僕はラッピングを解いた。

「えっ……」

思わず声を漏らした。その中には、名前の書かれた小さな四角い紙が入っていた。そこに書かれていた名前に、僕は動揺を隠すことができなかった。

気がついたら、僕は今来た道を走って戻っていた。――まただ、また自分でも信じられないような行動をしてしまっている。さっき見た名前は、何かの間違いかもしれない。誰かのイタズラかもしれない。そんな不安もあった。そんな不安を解消するためにも僕は走っていたのだろう。

――あいつだ。

学校の校門前で、部活終わりのあいつと鉢合わせた。ただでさえ走ったせいで高鳴った心臓が、さらにうるさいぐらいに跳ね上がる。こいつに何かを言うために学校に引き返して来たのだ。でも、言葉が出てこない。

「えっと……」

僕が黙っていると、あいつの方から何かを言おうとしてきた。

「あれ……みた?」

「あれ」とはあれのことだろう。考えるまでもない。僕は正直に小さく頷いた。

「あ、べつにいらなかったら捨ててくれていい……からね?」

「い、いや、ありがとう……!」

とっさに出てきたのはそんな言葉だった。誰かのいたずらじゃなかったことに、とりあえず安心した。その勢いで、僕の言いたいことも言ってしまおうと言葉を続ける。

「僕も……その、名前書き忘れちゃって。あれも、僕のだから……!」

そんな主語の曖昧な言葉にしかならない。

「え!そうなの!?」

そいつはものすごく驚いたあと、ありがとうとお礼を言ってきた。その一言で、僕はなんだか許されたような気がして、高鳴っていた心臓が少し落ち着いた。

僕ももう一度ありがとうとお礼を言い、お互いに「じゃあ」と別れの挨拶を交わして別々の道で家に帰った。

その日の夜、寝る前に今日一日の出来事を振り返って、改めて自分のした行動に驚いた。まるで何かに操られていたように、考える前に行動していたような気がする。結局、全ての行動は僕の本心で、普段なら勇気がなくてできないことをやっていただけなのだろうけど。

そして僕は、今まで感じたことの無いほどの安心感の中、眠りについた。

次の日、学校で会ったあいつと「おはよう」と挨拶を交わし、まるで呪いが溶けたように、気持ちの良い一日を過ごした。

だめでした……。

はい、ご覧の通りでした。だめでした。
とってもむずかしかったです(小並

まず、今の自分より高校生の時の方が間違いなく上手かった。
そんな彼が諦めた小説を僕が引き継げるわけなかった。

あと、使っては行けない言葉の制約が厳しすぎる。
「バレンタイン」「チョコレート」「男」「彼」とか。

「あいつ」とか「それ」とかじゃ限界があるよ。無理だよ。

結局、伏線回収できてないような気がするし。
まあそれは仕方ないか、だって伏線の意味覚えてないんだもん。

過去の自分が書いた、書きかけの小説の続きを書いてみて学んだことは、一度諦めたものは難しいから諦めたので再開しても難しいことに変わりはない。ということでした。

あーあ、なんかもったいないけど。
参考になれば幸いです。

急に公開するの恥ずかしくなったけど、思い切って公開してしまおう。
後悔するかもしれないけど公開してしまおう。

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