あめのて

活字を垂れ流す

最近買った本の話

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子供の頃に、他人に言われた一言が、その人の人生に大きな影響を与えることがある。

学校の先生に絵が上手いと褒められたのがきっかけで漫画家を目指したり、初めて行ったカラオケで友達に歌が上手いと言われて歌手を目指したり。
他人の何気ない一言が、その後大きな影響を与えることは珍しくない。


中学生の時、年間300冊以上の本を読んでいる数学の先生がいた。
あんまり生徒に好かれている先生ではなかったけれど、とても知識が豊富で話も面白かったから僕は好きだった。

僕も本が好きで、毎週入れ替わる学級文庫のうち、必ず一冊以上は読んでいた。
いつものように、学級文庫からどれを読もうかと本を選んでいると、その数学の先生がやってきた。

「おすすめの本を紹介してあげよう」

学級文庫には10冊以上の本があって、ジャンルも様々。
ノンフィクション小説から、時代小説、SF、エッセイ、詩集、児童文学はもちろん、ラノベまであった。

その数学の先生は、なんとそこにあったすべての本を読んだことがあり、1冊づつ本の紹介をしてくれた。
紹介といっても「これはおもしろい」「これはいい話だけどちょっとエッチだぞ」「これは為になる本だ」「これは読みやすいよ」など、テンポよく一言づつ感想を言っていくような紹介だった。

それを聞いて、学級文庫の中から、僕は一冊の本を選んで読むことにした。

「これは君に向いている」

そう紹介してくれた本だった。
自分に向いているから読んでみたいというより、この先生はどうしてこの本が僕に向いていると思ったのか、どういう本が僕に向いていると思っているのか、といったことが気になったのでその本を選んだ。

そして僕はその本を、休み時間や放課後を利用して3日ほどで読み終え、学級文庫に戻した。


それが中学生のときの話。
今からおよそ5,6年前。

つい先日、この出来事を思い出して、ネットでその本を探して注文してしまった。
今日届いて、今家にある。

べつにさ、そこまで特別な感想を抱いたわけでもないし、きっと先生もそこまで深く考えてああ言ったわけじゃ無かったんだろうけどさ。
そういうちょっとした出来事が、ちょっとした言葉が、実際よりも重要なこととして心に残ることもあるんだよ。

その本の内容というより、あのときの先生の言葉のおかげで、俺にとって特別な本になったんだ。


こんなふうに、何気ない一言が、実際の意味以上の価値を持つことは割とある。
だから、人に言葉をかけるときはそれを意識してみてもいいんじゃない、って話。

いや、べつにそうやってまとめたかったわけじゃないけどさ。
なんとなくこの話がしたくなっただけ。

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